新型コロナウイルスのPCR検査は、とてつもない恐怖との戦いだった

今週の頭。にわかに体調不良を感じて仕事を休む。どうやら38℃の発熱があるようだ。かかりつけ医に連絡すると診てくれるとのことなのですぐさま向かう。

症状は発熱のみ。咳や喉の痛みはない。聴診器でも肺炎の兆候はみられないとのこと。

「こんなご時世ですから、念の為コロナのPCR検査を受けておきましょうか」

その言葉に、一瞬戸惑う。そもそも簡単に受けられないと思っていたし、なんかPCR検査が出てくると一気にことが大きくなったように感じる。

しかし、突然の高熱の原因をはっきりさせないまま過ごすのも不安だし、思い切って受けることにした。別室に通される。

テーブルの上には、小さなアンプル。そこにストローで自分の唾液を採取するようだ。壁には梅干しの写真。噂には聞いていたけど、本当に貼られているんだな…。

慣れない作業に苦労しながら、20分ほどかけて採取完了。抗生物質と解熱剤を処方してもらって帰宅。結果は翌日の夜に連絡するという。

仕事を休んでいる以上、上司に報告しないわけにはいかない。PCR検査を受けた旨を伝えると、電話越しに緊張感が伝わってきた。「えっ…マジで?」

「はい、発熱以外に症状はないので大丈夫だろうとのことなんですが、念の為ということで…。結果は明日の夜らしいので、明日もお休みさせてください」
「わかった。結果が分かり次第連絡してね」

……それから、PCR検査の結果が出るまでの36時間は、本当に生きた心地がしなかった。もしも陽性だったときに家族や職場、同僚にかける迷惑のことを考えると、恐ろしくて心底震えた。

起きている時間は、コロナについて調べることに費やした。疲れてうたた寝すれば、悪夢にうなされた。上司から「味覚や嗅覚は大丈夫?結果は何時ごろわかる?」と連絡が来たのも、迷惑をかけていることがひしひしと伝わってきて辛かった。

そして、翌日の夕方。かかりつけ医から陰性との結果が伝えられた。

救われた思いがした。

すぐさま上司や家族に報告したあと、一人で泣いた。

いい歳をしたおっさんが、一人で泣いた。

それぐらい、どうしようもなく怖かった。

その後、未だに微熱は残っているものの食事も採れるようになり、回復傾向にある。

陰性だった私でさえこれだけの精神的ダメージを負ったのだから、陽性になった人たちの胸中を思うと、言葉が見つからない。

これまでコロナのことをどことなく対岸の火事だと思って見ていたけど、いざ自分が瀬戸際に立たされてみると、とてつもない恐怖との戦いなのだなと痛感した。

病気に罹りたくて罹る人なんかいない。

感染者を叩くようなことは、決してあってはならない。

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