英検の二次試験が11月6日(日)にあるとツイッターで聞いて、私が受験したときのことを懐かしく振り返ったりする今日このごろ。もう何年も前の話ではありますが、いちおう英検準1級に合格した人間の端くれとして、今回は1次試験のボキャビル、単語対策について書いてみます。
人間は忘れる生き物です
まず最初に声を大にしていいたいのが、「人間は忘れる生き物」であるということです。皆さんにもこういう経験があるはず。
- 昨日やったページなのに単語の意味が思い出せない!私って駄目だなあ…
- 覚えた端から忘れていってしまう。こんなんじゃとても合格なんて無理だ…
わかります。とてもよくわかります。私だってそうでしたから。しかし、覚えられないからと言って自分は駄目だとか向いてないとか、やっぱり諦めようなんて考える必要はありません。
「人間は忘れる生き物」だからです。忘れてしまうのは気合が足りないからではありません。人間の脳がそういう仕組みになっているからです。自然なことなのです。
私は旺文社の「英検Pass単熟語 準1級」を使いました
私が英検準1級を取得したのは2009年のことなのですが、そのころは市販の単語帳として「英検Pass単熟語」シリーズと「Duo3.0」が有名だったように記憶しています。前者は英検特化、後者はTOEICなども視野に入れて幅広くボキャビルをしたい人向けと言われていました。
いまでもその傾向は変わらないようですが、英検と旺文社は切っても切れない関係にありますので、どちらか一冊を選べというのならやはり旺文社のものを選ぶべきでしょう。
この英検Pass単熟語ですが、いつぞやからか「出る順パス単」とリニューアルされたそうで、実際の試験のデータをもとに、出現頻度が高いものから順番に並んでいるそうですね。いまから学習をされる方が手に取られるのなら「出る順パス単」のほうになるのでしょうかね。まあリニューアルの前のPass単のほうでも、このような章立てになっていましたので一応出やすい順にはなっていたようです。
- PART 1 よく出る重要単語 447
PART 1は、準1級で出現頻度の高い重要単語です。まず、ここに掲載されている単語を確実に覚えましょう。- PART 2 覚えておきたい単語 501
PART 2は、準1級でしばしば出題される単語です。覚えておくと英文の内容理解が深まります。- PART 3 これで差がつく単語 552
PART 3は、準1級で使用される単語です。ここまで意味を把握できれば合格にさらに近づきます。引用元: 旺文社「英検Pass単熟語準1級」
p7, p57, p111
Pass単の使い方を説明していきます…が、その前に発音を
それでは実際に使い方を説明していきます。
単語帳を開くと、単語と発音記号、日本語での意味が載っています。例えば最初のページの最初の単語のappealでは、このように書かれています。
appeal [əpíːl]
訴える [= make a formal request]引用元: 旺文社「英検Pass単熟語準1級」
p8
まずは発音記号に従って、口に馴染むまで単語を発音します。この時、我流の発音ではなく正しい発音で読むことが大切です。「音が読める」というか、自分で正しく発音できて、その音と元の単語のスペルを紐付けられる力はボキャビルにおいて重要です。日本語でもそうですが、読み方を知らない・発音がわからない単語なんて覚えられませんからね。
自分の発音が不安な方は、めんどうでも一つ一つオンラインの辞書などにかけて、正しい発音を確認した方がいいでしょう。最近ではGoogle翻訳などのアプリを使うことで、スマートフォンがあれば即座に正しい発音を確認できるようになりました。いい時代になったものですね。
ただ、逐一発音を調べるのは時間がかかりますから、やはり発音記号は読めるようにしておくと後々の学習が楽になります。といいますか、発音ができることは英語学習において必須の能力であるといえるでしょう。
この記事では単語学習、ボキャビルについて書いていますが、文法の勉強で文法書を読む時、またリーディングの一環としてペーパーバックを読むときも声が出せる環境であれば音読しながら問題を解いたり、ページを進めたりしていました。あくまで個人的な実感ですが、こうすることで脳への定着度が上がるんですよね。
私はUDA式30音DVDで発音の練習をしました
「発音記号なんて読めないし、読めたとしても自分の発音が正しいかどうかわからない。じゃあ単語の勉強なんかできないっていうの」という方もいらっしゃるでしょう。私も学生の頃は発音記号なんてなんとなくしか読めませんでした。
ですが、ニートをしていたころに本格的に英語の勉強をしようと思いたち、あれこれと学習方法を探している内にまずは発音が大事なのではないかと気づいて手に取ったのが「UDA式30音DVD」です。
詳しくは各自で検索していただきたいのですが、子音・母音を一つ一つ、実際の単語の例も交えながら、話者の人がカメラに向かって実際に発音してくれる作りになっています。
このDVDの動画をiPadに移して、徹底的に真似するように何度も繰り返して練習しました。ただ観るだけではなく、実際に真似をして口を動かして声をだすのが重要です。まあ最初のうちは誰が聞いているわけでもないのになんだか恥ずかしいのですが、続けていくうちに自分の発音に磨きがかかっていくのを体感できます。DVDの中の話者の人と同時に発音してみてぴったり音が合った時なんかは快感とすら言えるでしょう。
DVD購入後は毎日全編通しで練習して、ある程度口に馴染んできたころからは1日に1章ずつの練習に、そしてもうだいたい大丈夫だろうと感じた頃からは1日5分程度の練習になりました。これは本当に効果を感じられたので、発音で困っている方には是非試してみてもらいたいですね。8,424円と少しお値段が張るのですが、その価値は十分にあります。
Pass単の使い方の説明に戻ります
発音の話が終わったところで、Pass単の使い方にもどります。
1つ目の単語を何度も発音して、口に馴染ませます。この時に発音記号を見ながら発音するのですが、同時に英語のスペルもよく注視します。このアルファベットの並びがこういう音になるんだよーと脳に言い聞かせるようにするのがコツです。発音を繰り返しながら日本語の意味も確認します。単語によっては「なんで一つの単語にそんなにたくさんの意味があるんだよ…考えたやつ出てこいよ…」というものもありますが、そういう単語はすべての意味を覚えようとしてもどうせ覚えられやしませんので、一つ目の意味だけ覚えるようにします。
他の熟語での言い換えや同義語・反義語、名詞系や動詞系などチョイ情報が併記してある単語もよくありますが、無理をして覚えようとしても忘れるだけです。「ふーんそうなんだ」と目を通すだけにして、もともとの単語の発音・スペル・一番目の意味を覚えることに注力しましょう。
目は発音記号・スペル・意味を追いながらブツブツと繰り返し発音。口に馴染んだらいったん視線を本から外します。部屋の中なら天井でも見つめましょう。口はまだブツブツと発音したままです。そしてそのまま、もとのスペルと意味を天井を見ながら思い出します。appealなら発音に合わせてappealという文字が今見つめている天井に描ければOK。意味も「訴える」が思い出せればOK。
ここで注意なのが、1回目で完璧に覚えようとしないことです。「人間は忘れる生き物」です。「やったのに思い出せない…向いてないんだ…もう英語なんかやめよう」となるのが一番よくない。完璧主義は身を滅ぼします。「忘れてもいいやー」ぐらいの心構えでちょうどいいのです。
2番目の単語が終わったら3番目の単語…と、まずは20個目の単語まで同じ流れで進めます。終わったら、続いて別冊の「単語編例文集」を開きます。左ページが例文、右ページがその和訳になっているのですが、例えば1番目の単語、appealにはこのような例文と和訳が出ています。
Throughout the campaign, the leading candidates appealed to the masses for their votes.
選挙運動の期間中、有力候補たちは自分に投票するよう、大衆に訴えた。引用元: 旺文社「英検Pass単熟語準1級」単語編例文集
p2, p3
まずは左ページの例文を1回音読します。続いて右ページの和訳で意味を確認します。この時例文に意味の分からない単語が含まれていてもスルーしたほうがいいです。まあさすがに未知の単語が8割ぐらいあるよとなると単語帳のレベルを落としたほうがいいのでしょうが、ところどころ分からない程度なら放っておきます。
例文に使われている単語の発音がよくわからない場合も、いちいち調べていては大変ですから適当に「まあこう読むんだろうな」ぐらいで流したほうがいいです。発音のトレーニングとボキャビルを続けていけばスペルから発音がだいたい推測できるようになりますし、まずはフォーカスされている単語の意味・発音を注視すべきです。
和訳を確認したら、例文が口に馴染むまで音読します。この単語がこの和訳に対応してるんだなと意識しつつ声に出して読み込みます。私の場合はだいたい10回から15回ぐらい音読していました。これで1番目の単語はおしまいです。
続いて2番目の単語も例文を1回音読して和訳を確認して10回ぐらい音読。3番目も同様に。…そして20番目まで終わったら「No.1からNo.20までの初回の学習」はおしまいです。
2日目からは復習が加わります
2日目は、同様の手順でNo.21からNo.40までの単語を例文の音読まで終わらせます。そのあとに、1日目のNo.1からNo.20までの単語の復習をすることになります。
復習はいきなり例文集から入ります。例文を音読してみて、スムーズに読めて単語の意味も思い出せればその単語はOKです。発音がわからくなっていたり、意味が思い出せない場合はもう一度単語帳の方を開き、該当する単語の発音記号・スペル・意味を、何度も発音しながら目に焼き付けます。そして視線を本から外し、ブツブツと発音しながらスペル・意味を天井に描ければOK。指を使って空間にスペルを書くように確認するのも効果的です。もう一度例文集に戻り、さっきつまづいた例文を口に馴染むまで繰り返します。No.1からNo.20までこの作業を繰り返せば、「No.1からNo.20までの1回目の復習」はおしまいです。
復習の仕方について
初回 | 復習1 | 復習2 | 復習3 | 復習4 | 復習5 | 復習6 | 復習7 | 復習8 | |
No.1~20 | 1日目 | 2日目 | 5日目 | 10日目 | 18日目 | 30日目 | 45日目 | 66日目 | 96日目 |
No.21~40 | 2日目 | 3日目 | 6日目 | 11日目 | 19日目 | 31日目 | 46日目 | 67日目 | 97日目 |
No.41~60 | 3日目 | 4日目 | 7日目 | 12日目 | 20日目 | 32日目 | 47日目 | 68日目 | 98日目 |
No.61~80 | 4日目 | 5日目 | 8日目 | 13日目 | 21日目 | 33日目 | 48日目 | 69日目 | 99日目 |
No.81~100 | 5日目 | 6日目 | 9日目 | 14日目 | 22日目 | 34日目 | 49日目 | 70日目 | 100日目 |
~~~~~ | |||||||||
No.201~220 | 11日目 | 12日目 | 15日目 | 20日目 | 28日目 | 40日目 | 55日目 | 76日目 | 106日目 |
~~~~~ | |||||||||
No.1491~1500 | 75日目 | 76日目 | 79日目 | 84日目 | 92日目 | 104日目 | 119日目 | 131日目 | 161日目 |
なんだかすごい表になってしまいました。ここで言いたいことは、同じページというかカタマリを徐々に間隔を空けながら何度も復習しましょうということです。私は、1日・3日・5日・8日・12日・15日・21日・30日と空けながら、8回復習をしました。
どれぐらいの間隔を空けて何回復習するかは決まりがあるわけではありませんが、私は「忘却曲線」理論の説明をネットで見て、んじゃまあだいたいこの程度にしとくかと適当に決めました。もっと間隔を空ければ毎日の負荷は減りますがその分記憶への定着度は下がるでしょうし、1日にすすめる単語の数を20個から10個にすればこれまた負荷は軽くなりかかる時間も短くなりますが、蓄積されていく語彙の量が半減します。
このあたりは勉強に充てられる時間・意欲によって個人個人で調整されるのがよろしいのではないかと。私は幸いというか不幸にしてというべきか当時ニートをしていましたのでこの割り振りにしましたが、当時は単語の勉強だけで1日30分ぐらいかかっていましたね。他にも海外ドラマのDVDを3話分、だいたい1時間ぐらい見て、ペーパーバックをやっぱり1時間ぐらい読む。さらには文法書を30分ぐらいやって、TOEICの問題集もかじったり…と、なんだかんだで毎日少なくとも3時間は英語の勉強に費やしていました。普通に仕事をしていて毎日残業…な最近ではこの芸当は無理です。もっとも、情熱があれば細切れ時間を活用したり帰ってきて寸暇を惜しんで英語にすべてを捧げることで達成可能な学習時間ではありますが。やりたい、けどできない。難しいですね…。
ただ、時間がないからといって何もしなければいつまで経ってもゼロのままです。たとえ単語一つでもいいから、毎日コツコツと積み上げていくことが肝心でしょう。語学の道に王道なし、とはよく言ったものです。
話を復習に戻しましょう。
げぇーっ8回も復習なんて、と思いますが、復習を繰り返すたびに思い出せない単語は減っていきますから、回数を重ねた復習はただ単に例文を20個、1回ずつ音読するだけで終わってしまいます。5分もかかりません。
ただ困ったのが、単語帳を進めていく内に「今日はどこを復習するんだったんだっけ…」となることです。一応ページの下の方に学習した日付を書き込んではいるのですが、たまに書き忘れなんかがあったりして「ええとここは昨日やったから…3回目の復習がここで…4回目の復習は…ああ今日はしない日だっけか…」とページをウロウロしているうちに時間ばかりが過ぎていきます。これはとてももったいない。
ですので、この方法を採るときは予めエクセルなどで計画表を組み上げて印刷、わかりやすいところに貼っておくとか、単語帳に挟んでおくことをおすすめします。学習とは関係のないところで時間を取られるのはもったいないですからね。
間隔を空けて復習は効果的です
というわけで、私が英検準1級を突破したときの単語の学習方法について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。何分ニート時代の、時間が有り余っていたときの体験談であって皆さんに広くおすすめできる方法ではないかもしれませんが、この「一度で覚えようとせず何度も繰り返す」のは本当に効果がありますので、単語10個、いや1日3個とか1個でもいいので是非試してみてほしいです。
- いちどで覚えようとしない
- 覚えられなくても気にしない
- 覚えられるまで繰り返す
「人間は忘れる生き物」です。あまり気負わずにボキャビルを楽しむぐらいの気持ちで続けていきましょう!
参考サイト:
- 英検 公式サイト
英検の公式サイト。次回検定は2017年1月22日(日)で、申込期間は11月19日から12月20日(書店は12月16日)まで。 - 旺文社 英検新試験情報サイト
旺文社の英検情報サイト。試験形式の変更情報や、対応している参考書のリストなど。
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